女優(7)
瞳の母が子宮癌で入院し、手遅れだと判る。
暴力団とも組んでいる丹張商事に出資者になることを勧められた矢作は、勝手に瞳の名も出資者に連ねてしまった。
全ての仕事をキャンセルし、母の看病をする瞳。
そこで遂に父の名を聞き出す。
一人は名脇役のベテラン俳優・沢村拓二。
そしてもう一人は、人間ドラマの巨匠、脚本家・山本宗一だった! まず沢村に会った瞳は、彼が無精子症だと知った。
母が亡くなった後山本に会った瞳は、父娘の名乗りを果たした後、彼に脚本を依頼する。
償いとして書くことを承知した山本の脚本を受け、瞳のドラマ『めぐり愛』は制作開始した。
しかし丹張商事に警察の手が入る! 矢作や、出資者にされていた瞳にも…。
清純女優のイメージを守るため、矢作に助けを求める瞳。
矢作はドラマ撮影が終わった後、記者会見で全ての責任を被った。
また瞳も、全財産を被害者救済に投げ出すことで、世間の非難を回避する。
ドラマで共演した山本の娘・千賀子とも姉妹の名乗りを上げ、公にはしないで助け合っていくことを誓った。
ドラマは大成功し3年後、人気実力派女優の地位を不動のものにした瞳は、舞台『鬼嫁鬼姑』に出ることになった。
若手天才演出家・秋葉秀介のオファーである。
舞台一筋の大女優若森照子にしごかれるが、足を挫きながらも立派に舞台を勤めあげたことで認められた。
その間次第に秋葉に惹かれていく瞳。
初恋と言っていい感情だった。
秋葉と結婚する瞳。
TV・舞台に高い評価を得て、幸せの絶頂で妊娠する。
だが秋葉は、ニューヨークに向かう飛行機で事故に遭い、死んだ。
瞳はショックで早産する。
母子とも助かったが、茫然自失のまま。
秋葉の葬式後、皆が復帰を切望して、山本が瞳のための脚本『秋桜の咲く丘』を書いた。
それを読んで、女優に戻る決心をする瞳。
今では瞳の良き理解者となった阿久津のプロデュースで、若森と真紀が共演したスペシャル・ドラマは大成功した。
瞳と真紀は、日本を代表する女優に成長する。
だが仕事が忙しくて構って貰えない息子・秀一が、次第にグレていくのを、瞳は止められなかった。
最終巻。
高校生になった秀一が、傷害事件を起こす。
母を恨む気持ちはエスカレートし、不良仲間に入ってコカインにも手を出し、逮捕されてしまった。
瞳はマスコミのバッシングを受け、世間全体が敵になる。
心を閉ざした息子に母の演技が通じるか? 瞳は一世一代の勝負に出た。
女優を引退し、秀一と白石の3人で沖縄に移り住む。
母としての闘いをドキュメンタリーに収めながら、遂に秀一の心を開かせることに成功した。
放映されたドキュメンタリーは大評判になり、瞳は女優復帰。
白石と30年愛を結実させて結婚した。
仕事においても、私生活でも、清純派女優としてその半生を全うした天才女優。
その名は、浅倉瞳。
「ガスの検針です」――80ポンドで『飾り窓』の夜は誰にでも買える…。
飾り窓に佇む女と見まごう「彼」は、今夜も知らぬ貴方を待っている。
窓辺に立つ「彼」に一目惚れしたワニさんの甘くて切ない第1話から、女との幸福を望んで街から出、また飾り窓へ戻ってくる男、親友の残した形見のペンダントに呪縛される男、パブリックスクールの少年2人、などなど、シリーズ6話と書き下ろし『物憂い午下がり』(第0話?)16ページ収録。
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